和歌山県・熊野本宮大社からほど近い湯の峰温泉。
20代の頃に熊野本宮周辺を巡った際、偶然立ち寄って「こんな山奥に、こんな温泉街があるのか」と驚いた場所です。そのときは日帰りで、入りたかった「つぼ湯」も混雑していて断念しました。
その後、本で「建築と名湯を兼ね備えた旅館」として湯の峰温泉の「あづまや」を知り、いつか泊まってみたいと思うように。さらに最近はサウナが趣味になり、あづまやには天然温泉を使った蒸し風呂があると知って、ますます興味が強くなりました。
今回は私たち夫婦と7歳・5歳の息子、そして実父・実母・実妹の三世代7人で宿泊。翌日は熊野本宮大社で次男の七五三を予定していたため、立地的にもぴったりでした。
結論から言うと、泉質と昔ながらの温泉街の雰囲気を一緒に楽しめる、かなり印象に残る宿泊になりました。あづまやの湯だけでなく、つぼ湯、薬湯、湯筒まで一泊で満喫できるのも湯の峰温泉ならではです。
※この記事は2026年9月20日~21日に宿泊した際の体験をもとにしています。料金や設備、営業内容などは変更される可能性があります。
湯の峰温泉「あづまや」宿泊の基本情報
今回利用したのは、公式予約サイトの「2食付き・日本最古の温泉を堪能するプラン」。
私たち家族4人は「おまかせ和室」で、料金は59,400円。内訳は大人2人、小学生1人、食事・布団なしの5歳児1人です。
実父・実母・実妹の3人部屋は61,050円。
三世代7人、2部屋で合計120,450円+入湯税でした。
チェックインは13時、チェックアウトは10時。夕食・朝食付きです。
駐車場は旅館のすぐ前ではなく、少し離れた「民宿あづまや」横にありました。まず旅館前で荷物と家族を降ろし、運転手だけ車を移動させると楽です。徒歩でも5分以内でした。
あづまやを選んだ理由
最大の理由は、以前から湯の峰温泉そのものに興味があったことです。
20代の頃に訪れたとき、つぼ湯に入りたかったものの混雑していて断念。それ以来、「いつか泊まりで来て、ゆっくり入りたい」と思っていました。
その後、あづまやが昔ながらの建築と温泉の両方を楽しめる旅館だと知り、いつか三世代で泊まりたい宿に。
さらに、天然温泉を利用した蒸し風呂があることも決め手になりました。
今回は熊野本宮大社で次男の七五三も予定していたため、温泉旅行+七五三を組み合わせられる立地も大きな魅力でした。
▶宿泊後に熊野本宮大社で七五三した記事はこちら
昔ながらの温泉旅館らしい外観と館内
あづまやは、いわゆる「現代風にリニューアルされた温泉ホテル」とはかなり違います。

館内に入った第一印象は、和歌山の山奥に残る昔ながらの旅館。

建物や廊下には年月を感じますが、それを無理に新しく見せようとしていないところが、むしろ湯の峰温泉の雰囲気によく合っています。
古いから汚いという印象はなく、清潔感は十分。
スタッフも外国人を含めてさまざまでしたが、子どもの相手もしながら手際よく対応してくれました。
館内でエレベーターは見当たりませんでした。ただし、私たちの客室と温泉は1階。2階に上がったのは食事のときくらいです。
階段も特別急ではなく、実父母も子どもたちも問題なく上り下りできていました。
客室「したん」は子連れ4人でもかなり広かった
私たちが泊まったのは、1階の「したん」という部屋。フロントのすぐ横にありました。
子どもを含めて4人だったためか、和室が2間あり、想像以上に広々。
「これだけ使っていいの?」と思うほど贅沢な空間でした。

部屋にはトイレ、洗面、冷蔵庫、Wi-Fi、コンセントがあり、お風呂はありません。


布団は夕食中に敷いてくれます。
子ども用浴衣やアメニティも用意されていました。
窓の外には湯の峰温泉街が広がり、一般湯や薬湯も目の前。夜になると車もほとんど通らず、聞こえてくるのは虫の声くらいでした。
そして何より便利なのが、つぼ湯、湯筒、公衆浴場がすべて徒歩数分圏内ということ。
温泉街そのものを楽しむには非常に良い立地です。
あづまや最大の魅力は温泉
今回、私は一泊で合計5回入浴しました。
宿の湯に3回、つぼ湯に1回、薬湯に1回です。
その中でも、あづまやの温泉はかなり印象に残りました。
内湯は「古い」ではなく「味がある」
最近は年齢のせいか、派手な露天風呂より昔ながらの内湯に惹かれることが増えました。
あづまやの内湯は、まさに好みのタイプ。
木造の湯屋と湯船に年月を感じ、温泉宿に来たという実感があります。
お湯は透明で、強烈な硫黄臭がするタイプではありません。
やや熱めでしたが、子どもでも入れる程度。滞在中は数人程度、あるいは独占状態のこともあり、混雑を感じることはありませんでした。

露天風呂は和風庭園の中にある池のよう
露天風呂は日本庭園の中に湯船があるような造り。
内湯も露天もそれぞれ良く、「露天だけ入ればいい」という感じではありません。
透明な湯に浸かって庭を眺めているだけで、かなり落ち着きます。

なお、男女の浴場は午前0時に入れ替わります。
そのため、両方楽しみたいなら夜と翌朝で入るのがおすすめです。
天然蒸し風呂は「和製サウナ」のような独特の体験
今回特に楽しみにしていたのが、天然温泉を利用した蒸し風呂です。

いわゆる一般的なドライサウナとはかなり違います。
まず驚いたのが床の熱さ。
長男は5秒ほど、実父も30秒ほどで退室。
入口付近の石もかなり熱く、しかも少し凸凹しているため、出入りするときに足の裏が痛いのが難点でした。
さらに宿泊時は室内の照明が故障しており、中はほぼ真っ暗。入口に用意された手持ち照明を持って入る仕組みになっていました。
私は深夜に、
蒸し風呂 → 水シャワー → 休憩
を3回繰り返し、最後に温泉へ。
サウナとは違いますが、かなり面白い体験です。
ちょうど鼻が詰まり気味だったのですが、終わる頃には鼻水が一気に出て個人的にはスッキリした感覚もありました。
ただし、これはあくまで私自身の体感です。
なお、風呂場は宿の方に確認して、ほかに利用者がいないタイミングで撮影させてもらいました。
蒸し風呂内部も撮ろうとしましたが、入った瞬間にレンズが曇って何も写りません。
ネットで内部写真をほとんど見かけない理由が少し分かった気がしました。
「さまし湯」は意外と温かかった
源泉100%の「さまし湯」もあります。
名前からかなり冷たい湯を想像しましたが、実際に入るとそれなりに温かく感じました。
一般的なサウナの水風呂とはまったく別物です。
あづまやは大浴場、露天風呂、蒸し風呂、さまし湯まで揃っているため、今回は家族風呂を見るだけで終わりました。
家族風呂はコンパクトですが、雰囲気は良さそうでした。
世界遺産「つぼ湯」へ
あづまやからつぼ湯までは徒歩5分もかかりません。
今回の旅のもう一つの目的でした。

2026年9月時点では1組30分の貸切制。
15時頃に受付すると4組待ちでした。

順番が来たときに不在だと最後に回されるとのことで、完全に旅館へ戻ってしまうのではなく、ときどき様子を見に行く必要があります。
とはいえ、あづまやは至近距離。
妻や妹は待ち時間中に旅館へ戻っていました。
私たちは16時40分頃から順番に利用。
私と次男、実父と長男、妻、実母と実妹という組み合わせで全員入りました。
子どもたちは「何だこのお風呂は?」という感じで不思議そう。

岩の中に造られた小さな湯船なので、普通の温泉とはかなり違います。
つぼ湯だけ白く濁っていた
印象的だったのが、お湯の色です。
あづまやの温泉は透明だったのに、今回入ったつぼ湯は白っぽく濁っていました。

宿の方に聞くと、あづまやも同じ湯だという話でしたが、実際に入った感覚では少し違う印象も受けました。
足元から湧出している影響なのか、岩の湯船によるものなのか、その日の状態によるものなのかは分かりません。
あくまで宿泊時の私自身の印象ですが、つぼ湯は独特の力強さを感じる湯でした。
なお、つぼ湯は1日に何度か色が変わるとも案内されています。
「世界遺産だから一度入れば十分」という観光施設ではなく、温泉そのものを目的にしても楽しめる場所だと思います。
湯筒で温泉卵作り
湯の峰温泉では、温泉街を流れる川沿いに「湯筒」があります。
今回は2回利用しました。
すぐ近くの売店では湯筒用の卵やサツマイモを販売しています。

卵を買うと最初から網に入っているため、そのまま湯筒へ。
指定された時間待つだけで温泉卵が完成します。
塩も付いていました。
温泉に入るだけでなく、子どもと一緒にこうした体験ができるのも湯の峰温泉の面白いところです。

公衆浴場の一般湯と薬湯
湯の峰温泉の公衆浴場には一般湯と薬湯があります。
実母は一般湯へ。
私は薬湯に入りました。
施設自体は新しく整っていて使いやすいのですが、昔ながらの雰囲気を味わうという意味では、つぼ湯やあづまやの方が印象に残りました。
薬湯は源泉掛け流しで、こちらも確かに良い湯。
ただ、今回すべて体験した個人的な好みでいえば、
あづまやの湯・つぼ湯 → 薬湯 → 一般湯
という順番で印象に残りました。
湯の峰温泉に1泊するなら、私はまず宿の温泉とつぼ湯を優先します。
夕食は温泉を使った料理が主役
夕食は客室ではなく、別室の食事処でいただきました。
7歳の長男は大人と同じ料理。5歳の次男は食事なしプランだったため、家族から取り分けました。
夕食は和食会席。

刺身は子どもたちに人気で、長男はデザートのフルーツもかなり気に入っていました。

大人に特に好評だったのは美熊野牛の温泉しゃぶしゃぶ。
温泉を料理に使うあづまやらしい一品です。
そして意外に印象に残ったのが、ご飯。
特別派手な料理ではありませんが、普通のご飯そのものが美味しく感じました。
御品書を見ると、しゃぶしゃぶだけでなく、南瓜茶碗蒸しや温泉御飯など、温泉を料理にも活用していることが分かります。
長男は大人と同じ量だったので、さすがにすべて食べ切ることはできず、残りは大人と次男でシェアしました。
小学生低学年の場合、大人料理と同じ量が必要かどうかは子どもによって分かれそうです。
朝食の温泉粥が想像以上に美味しかった
朝食も夕食と同じ食事処です。
宿泊前から「あづまやの温泉粥は名物」と聞いていました。
ただ、実際に食べてみると期待以上。
お粥というと米がかなり柔らかくなったものを想像しますが、ここの温泉粥は米の存在感がしっかりしています。
そこに温泉由来と思われるほのかな風味が加わり、普通のお粥とは違う味わいでした。

温泉湯豆腐も、柔らかく崩れるタイプではなく、比較的しっかりした豆腐で食べ応えがあります。
夕食だけでなく朝食まで「温泉宿らしさ」を感じられるのが印象的でした。
ちなみに長男は、
「朝もフルーツが欲しかった」
とのこと。
子ども目線ではそこが唯一の注文だったようです。
夕方の湯の峰温泉街が幻想的だった
湯の峰温泉は、巨大な観光地ではありません。
川沿いに旅館、公衆浴場、つぼ湯、湯筒などが並ぶ、かなりコンパクトな温泉街です。
それでも不思議と雰囲気があります。
宿泊日は台風が関東・中部方面に接近していた影響なのか、夕方になると空と温泉街が普段とは違うような色に染まりました。

小さな川と昔ながらの建物が夕日に照らされ、想像以上に印象的な景色に。
温泉だけでなく、こうした時間帯の町歩きも良かったです。
夜になると外国人旅行者の姿も
温泉街にはクラフトビールやせいろ蒸しを楽しめる店もありました。
最初は「こんな山奥で誰が利用するのだろう」と思っていましたが、夜になると外国人旅行者で賑わっていました。
実際、温泉街でも欧米系の旅行者をちらほら見かけ、あづまやにも宿泊していました。
熊野古道を歩く旅行者にとっては、
歩く → 温泉に入る → 小さな温泉街で食事や酒を楽しむ
という流れが非常に相性が良いのでしょう。
今回滞在してみて、海外から多くの人が訪れる理由が少し分かった気がします。
車で行くなら五條・十津川ルートは運転疲れに注意
今回は行きに五條・十津川方面から湯の峰温泉へ向かいました。
昔に比べれば道路はかなり整備されています。
とはいえ、やはり山深く、曲がりくねった道が続きます。
カーナビはこちらのルートを案内しましたが、運転しているとそれなりに疲れました。
帰りは海側へ出て高速道路を利用。
所要時間そのものというより、運転の疲労感がかなり違いました。
小さな子どもや車酔いしやすい家族がいる場合も、単純な所要時間だけでなく、走りやすさまで考えてルートを選んだ方が良いと思います。
三世代・子連れであづまやに泊まってどうだった?
建物が歴史ある旅館なので、宿泊前は高齢の両親や子どもの館内移動が少し気になっていました。
しかし今回の客室と浴場は1階。
食事処へ行くときだけ2階へ上がりました。
階段も急ではなく、両親も子どもたちも特に苦労することはありませんでした。
部屋も広く、つぼ湯や湯筒へもすぐ行けるため、三世代旅行との相性はかなり良かったです。
一方でエレベーターは見当たらなかったため、階段移動そのものが難しい場合は予約前に客室位置を確認した方が安心です。
あづまやに泊まって感じた良かった点・気になった点
今回特に良かったのは、何といってもあづまやの湯とつぼ湯の泉質、そして温泉街全体の雰囲気です。
宿の温泉だけでも十分満足できるうえ、徒歩数分でつぼ湯、薬湯、湯筒まで楽しめます。
食事でも温泉しゃぶしゃぶや温泉粥など、「温泉に泊まる」だけではなく「温泉を食べる」体験までできました。
気になったのは天然蒸し風呂の入口。
床や石がかなり熱く、出入りするときに足が痛かったのは改善されると嬉しいところです。
それでも、蒸し風呂自体はここでしか味わえない独特の体験でした。
まとめ|次は熊野古道を歩いて湯の峰温泉へ来たい
20代の頃に偶然訪れ、「いつか泊まってみたい」と思った湯の峰温泉。
年月を経て、今回は両親、妹、妻、子どもたちと三世代で再訪することができました。
あづまやの昔ながらの建物、透明で心地よい宿の湯、天然蒸し風呂、岩の中から湧くつぼ湯、湯筒で作る温泉卵、そして温泉を使った料理。
一泊したからこそ、湯の峰温泉をじっくり楽しめたと思います。
泉質だけでなく、昔ながらの温泉街の雰囲気まで含めて楽しめることが、湯の峰温泉最大の魅力。
特に熊野古道と組み合わせれば、海外から多くの旅行者が訪れるのも納得できます。
今回は車で訪れましたが、次に来るなら欧米の旅行者たちのように、熊野古道を歩いた先で湯の峰温泉に入りたい。
そんな次の旅まで考えさせられる温泉地でした。

▶宿泊後は熊野本宮大社で次男の七五三を行いました。記事はこちら


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